かみさんと2人でハマっているボードゲームがある。
それが『ハコオンナ』(EJIN研究所)である。

ハコオンナと呼ばれる哀れな少女の怨霊が潜む恐怖の館が舞台である。
プレイヤーは、ハコオンナ役のプレイヤー1人と訪問者役のプレイヤーたちとに分かれる。
ハコオンナ役のプレイヤーは、訪問者を1人残らず殺すのが目的で、訪問者役のプレイヤーは恐怖の館から無事生還するのが目的である。
ハコオンナの館から生還するには、三つの方法がある。ハコオンナを討伐するか、ハコオンナを成仏させるか、秘密の脱出口から逃げ出すか。
館のあちこちに物陰がある。ハコオンナはこの物陰に隠れている。彼女は訪問者たちを鬼に見立てた「かくれんぼ」をして遊んでいるのだが、ハコオンナが隠れている物陰を覗き込んでしまったが最後、ハコオンナに殺されてしまうばかりか、ハコオンナの手下・ハコビトに成り果ててしまう…。
物陰にはハコオンナを討伐、成仏させる為に、又、館から脱出する為に必要なアイテムなども隠されている為、覗かない訳にはいかないのだ…。

この恐ろしくも楽しいボードゲームが、小説になった。
それが神秋昌史先生・著『ハコオンナ ─小説版─』(マイクロマガジン社)である。
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ゲームのノベライズというと、中にはタイトルばかりが同じで内容が伴わないものもあるが、この『ハコオンナ ─小説版─』は見事にゲームを小説に落とし込み、かつ小説オリジナルの設定が、物語に深みを与えている。
ゲーム上での設定や処理が小説でどの様に表現されるのか…。ゲームのノベライズはそこが最も楽しみな箇所だが、『ハコオンナ ─小説版─』は実に巧みに再現されており、実際に自分がハコオンナの館に閉じ込められた様な気分になり、読んでる間中、家の中にある物陰が怖く感じた。

これからの蒸し暑い季節、恐ろしくも面白い『ハコオンナ ─小説版─』で涼んでみては如何だろうか?
ゲームを実際に遊んだ事がある人はもちろん、ゲームを遊んだ事が無い人でも十二分に楽しめるホラー小説なので、読後にはゲームでも遊びたくなる事うけあいである。

ハコオンナ ―小説版―
神秋昌史
2018-05-23


ハコオンナ 第四版
EJIN研究所
2017-12-08